灯台もと暗し

先日は、とある方に声をかけていただき、大船にある一般財団法人日本燃焼機器検査協会を訪ねました。上の写真は無響室の中。ストーブの騒音レベルを測定するための部屋ですが、4面グラスウールに囲まれた空間の中では、反響がほぼゼロなため、自分の声すら良く聞こえません。この協会はそもそも昭和30年に、石油ストーブによる事故で沢山の死者が出たため、ストーブの安全性を試験するための機関として設立されました。今では石油ストーブのメーカーはしっかりとした生産体制を持っているところばかりですが、当時は”4畳半メーカー”といって、家の中で一人でこつこつとストーブを作っている小さなメーカーが沢山いたそうです。それが原因で必要最低限の安全が担保されず、不幸にも沢山の方が命を落としました。この協会は数年前からエネファームやペレットストーブの燃焼効率、安全性の試験も行っており、近年では薪ストーブの試験の依頼もあるとのこと。ただ、薪ストーブに関しては試験方法が確立されていないため、一体何をどうやって試験してほしいのか、依頼人もよく分からないケースがあって困りもの、とのことでした。現在市場に出回る薪ストーブやペレットストーブは価格も性能も安全性もぴんきり。海外の安全試験をクリアした100万円近い輸入ストーブと並んで、1万円で買えてしまうようなストーブも見かけます。そう、まさに薪ストーブの”4畳半メーカー”の時代が始まったといえましょう。そこで皆さんが考えたプロトタイプストーブを、まずはこの試験場に持ち込めば、薪ストーブの燃焼効率、輻射熱の分布、可燃物までの離隔距離、そして騒音レベル、耐震性能、耐風性能など、何から何まで測定が可能です。なにしろ他の試験場で薪ストーブの試験を御断りされた方も最終的にこちらにたどり着くそうです!もっともっと薪や薪ストーブ、ペレットストーブを規格化して、普及させたいと日ごろから思っていた私には、この協会の存在がとても心強く感じられました。

何時も車で通る道に、こんなスゴイ施設があるなんて、夢にも思いませんでした・・。

森みわ共著「あたらしい家づくりの教科書」

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パッシブハウス・ジャパン
東北芸術工科大学