南国を思わせる白浜空港から車で2時間ほど北上すると、十津川村は小雪の降るマイナス6度の銀世界でした。村役場で村長ほか関係者向けに村内の公共建築物の省エネ改修調査の結果報告を終えてから、雪景色を眺めながら足湯に10分ほど漬かり、NPO木品協の黒川さんの車で橿原市のモデルハウスの現場へと向かいました。
十津川杉の巨大な引き戸が無事取り付けられ、村の伝統的な意匠である”すばるの吹き下ろし”を再現した杉の外壁も仕上がっていました。玄関土間には村のシンボルマークを那智黒石で埋め込むため、左官屋さんと綿密な打ち合わせを行いました。施工を手がけるスペースマイン(橿原市)と柳瀬工務店(十津川村)は、この”ちょっと普通でない”建物に本当によく取り組んでくれています。今週は完成間近の建物を橿原市長や十津川村村長、議員さんも見学されて、取材の申込みも増えてきました。前田国交大臣も実は十津川村出身で、一昨年に同氏の議員会館の事務所に招いていただいた際は十津川村の話題で盛り上がったのを覚えています。
そして忘れもしない3.11直後、疎開先の阿蘇でキャンピングカーをオフィスにして、寒さに震えながら私はこの建物の基本設計をまとめていました。今でも”あの時もっと時間があれば・・”と思うことがありますが、十津川村も9月の土砂災害を乗り越えて、このプロジェクトを進めてきました。そんな激動の年を経てもうじき完成するこの建物は、順調に進めば4月16日(月)に竣工式をむかえます。見学会およびセミナーのご案内も3月頃にはできる予定です。
それにしても、いまだに名前の決まらないこの建物ですが・・、私の一押しはやっぱり、”森の市場”または”十津川村領事館”でしょうか。皆さんよく勘違いされますので補足ですが、この建物は奈良県橿原市内の近鉄大和八木駅近くにあり、奈良県吉野郡十津川村が古くから材木市場として所有する土地に建っています。
十津川村と橿原市は川上と川下の関係にあり、十津川村の材木は橿原市の市場で取引されていました。ですからこの場所は、昔から村外で村をPRするいわば”領事館”なのです。
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