ドイツ省エネ建築視察ツアー2013

KEY ARCHITECT企画の2013年ドイツ省エネ建築視察ツアー、無事に終了いたしました。今回は参加者の平均年齢が本当に若くて、元気一杯の皆さんでした。1月16日にはミュンヘンで2年に一度開催されるヨーロッパ最大規模とも言われる建材展を回りました。とても一日では回れない広さですが、皆さんドイツのサッシの断熱性能に一番驚かれたかもしれませんね。それにしてもドイツの省エネ化は止まりませんね。太陽光発電も急速に普及して、売電価格は下がる一方ですが、今度は太陽光の余剰発電で二酸化炭素をガス化して冬のために貯蔵する計画が始まっているとのこと。ドイツの太陽光政策を失敗というのは日本のメディアだけです。2021年の1月1日からは全ての新築物件はパッシブハウス相当の性能となります。たった8年後の事ですよ?どうしてこんなに次々と素晴らしい政策が打ち出されていくのでしょうか?不器用そうなビールっ腹のドイツ人のおっちゃんが建設現場でのんびりと仕事をしている様子を見ていると、とても不思議に感じるはずです。私の5年間のドイツ生活と、その後10年近くのドイツ人との仕事を通じて垣間見えるのは、ドイツの一般的な人は意外と自己中心的に生きていて、自分と自分の家族が一番大事だと思っているということです。したがって、自分の仕事が終わろうと終わらまいと、定時になると家に帰ってしまう人がほとんど。申し訳なさそうな様子なんて一切ありません。正反対です。自分がいかに沢山働いたかを、そして家に帰る権利を主張して、時にはプリプリしながら帰って行きます。どうしてこんな人たちが大多数を占める国が私たちの手本になるのでしょうか?日本の一般的な人の方がよほど勤勉で、責任感があります。そんな人は大抵、家族に対して罪悪感を感じながら会社のために働いています。ドイツという国は、それほど我慢強くも無く、割り切って仕事をする人たちを労働力として、国の経済をまわさなければいけないため、国の政策決定者がよほど賢くないと、国として成り立たないということです。それに対して日本はどうでしょうか?大半の政策決定者は勤勉で責任感のある一般の人たちに依存して、大企業にメリットをもたらし私腹を肥やす事ばかり考えている。合理性に欠ける政策の犠牲になる人は、我慢強く責任感のある一般の人たちですね。フランクフルト空港に向かう列車のなかでそんな事を思いながら目をつぶっていると、私の向かいでさっきまでノートパソコンで仕事をしていたオジサンが、列車を降りる準備をしながら隣の人に言いました。”彼女フランクフルト空港まで行くらしいから、このまま眠っていたら起こしてあげてくれないかい?”。隣にいた、確か刺青だらけの兄ちゃんが、オッケーと答えました。仕事はさっさと切り上げるくせに、実はとても人情深いのがドイツ人なのです。話がずいぶんとそれてしまいましたが、皆さんにはドイツ製品ばかりに目をとらわれずに、その後ろに見え隠れするドイツ人気質にも興味を持っていただきたいです。きっと私たちのお手本になることが見つかるでしょう。

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コメント: 1
  • #1

    長谷川 雅章 (木曜日, 24 1月 2013 12:34)

    フェイスブックで記事を拝読しシェアさせて戴きました。非常に興味深い内容、ありがとうございました。 

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東北芸術工科大学