もうひとつの風景

今日は台風予報につき、予定されていた竣工物件の撮影会が延期となりました。

そこで怒涛のような数日間の後の、頭の中のモヤモヤを晴らすべく、大雨の中独りでドライブに出かけました(本当は子どもと一緒に行きたかったのですが、チャレンジが溜まりまくっている事を叱ってしまい、連れ出しにくい状況に・・)。家を出る時は何処に向かうかも分からず、若宮大路が134に突き当たった時、右折か左折かをとっさに決めなければということで、左に曲がったら葉山方面になりました。本当に、それくらい適当な、まさに行く当てのないドライブだったのですが・・・。

窓からの眺めは海と空の境目が良く分からないほど、全てがぼやけたグレーです。

材木座海岸にはこの大雨にも関わらず、大量のサーファーが集まっていました。目も開けたくない程の雨なのに、みんな凄いバイタリティだー!とただただ脱帽、そして葉山へ。

 

葉山には幼少の、そして大学時代の思い出があります。

久しぶりに子どもの頃過ごした別荘を探して、海側の路地に入ってみましたが、もう様変わりしていて、跡地を見つけることもできませんでした。代わりに見つけたのは"コンドミニアムTHE HAYAMA"という海沿いのマンション。結構雰囲気を醸し出していて、これならマンション暮らしでも良いじゃない?と思いましたが、ネットで調べたらオクションでした。

 

葉山マリーナの周辺では台風予報のためずぶ濡れになりながらディンギーを陸上に退避させている大学生達がちらほら。とても懐かしい光景です。

 

そういえば大学一年生の時に同乗していたレスキュー艇が葉山マリーナの横の浅瀬の岩に激突し、船外機が海に落ちた事がありました。海上で身動きが取れなくなりましたが、幸い慶応大学のレスキュー艇に助けて頂いて私だけ上陸。レース期間中だったので、エントリーしているレスキュー艇が来ないというのはとてもマズイ事なのですが、当時は全員が携帯電話を持ち歩いているような時代では無かったので、私がメッセンジャーとして陸路で目的地の森戸海岸まで走ることに。あれは本当に苦しくて遠い道のりでした。

 

そして、あっという間に葉山の御用邸が表れて、大学時代に海岸で散歩中の天皇皇后陛下に話しかけられた事を思い出しました。同期の仲間が海の家を建設していたので、フラッと遊びに行った時の事でした。

 

そのまま南下するつもりでしたが、雨の日のドライブで急に思いだした喫茶店”もうひとの風景”。実はこの喫茶店には大雨の日にしか行った事がありません。悪天候で船が出せない時は、船を安全な場所に退避してからヒマつぶしにここに来ました。静かに本を読むために。

家を出る時にはこの喫茶店の事など微塵も覚えていなかったはずなのに、大雨の日なんだから行くしかないだろう、という事になり、久しぶりに足を踏み入れました。移築した古民家でもう30年近く営業されています。コーヒーは相変わらず2種類。源氏珈琲と平家珈琲。何が何だか分かりませんが、ここは相変わらず別世界でした。ランチとコーヒーを頂いて、ジャズに耳を傾けていると、いくつか大切な事を思い出しました。そこで私の当てのない旅はあっけなく終り、事務所で一仕事して家に帰ろうという事に。

 

雨の日のドライブ、なかなか良いかもしれません・・。

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東北芸術工科大学