2015年

8月

06日

北陸で構造見学会を開催しました。

去る8月6日、富山県黒部市にて、キーアーキテクツ設計のモデル住宅の構造見学会を行いました。とても暑い夏日となりましたが、北陸エリアの実務者の方を中心とした、大変勉強熱心な皆様にお集まりいただきました。開口部に国内最高スペックの樹脂窓が取り付けられた物件は現在セルロースファイバーによる外断熱施工のために外壁下地をふかしているところです。この日までに屋根のセルロースファイバーブローイングが完了するハズだったのですが、行程の変更により無断熱状態で見学会開催となりました・・・。

樹脂窓は打合せ通りの位置と方法で躯体に収められていました。が、室内から玄関ドアの下の部分を見て私は悲鳴を上げそうになりました。なんじゃこのヒートブリッジは!!!

実は施工店さんが見学会の時に皆さんが出入りし易いようにとの配慮から昨夜モルタルで溝を埋めてくださったところだそうで、モルタルの乾燥過程で放熱していたのでした。ああびっくりした・・。


外壁に関しては、工場でパネル化されたネオマフォーム80mmが躯体に隙間なく充填されているため、現時点でかなり高い断熱性能を発揮しています。一方、灼熱の屋根にはブローイングの際に通気層を確保するための卵パックのようなシート(正式名称は日本住環境のルーフライナー)が収められていますが、そのシートが屋根合板に接触しているところだけ異常に高温になっているのが、サーモグラフィー画像でお分かり頂けます。急きょエアコンを設置していただき、窓を閉め切って見学会に挑むことになりましたが・・。

関係者の皆様のご協力の元、見学会の準備が整いました。キーアーキテクツからは図面や燃費計算結果(うちのイケメン新人の杉浦が社内で唯一省エネ建築診断士の資格を有するので、今回は彼の名前を入れてみました!)、施工写真のパネル展示、そして50分の1模型(自動車メーカーのエンジニアだったはずが何故か現在はプロのモデラーとして生計を立てている私の父に外注)を持参。お施主様からはパイプ椅子を貸出し頂いて、施工店の監督さんにはサッシおさまりを検討する際に製作した壁の原寸大模型をご用意頂きました。この時点ではエアコンがそこそこ効いており、室内は涼しい環境だったのですが・・・。

施工を担当されているカネタ建設・猪又社長のあいさつから始まり、賞味45分のミニセミナー&現場監督さんとのトークセッションでしたが、内部発熱量は3000Wを超え、室温は上がる上がる・・。皆さん本当に申し訳ありませんでした。是非竣工した暁にはもう一度、今度はもう少しゆっくりとお話させて頂きたいと思いますので、11月の竣工までしばしお待ちください!!!


こちらは今回の外壁構成と窓おさまりで熱解析をかけた結果です(外気温0℃、室温20℃で解析を行っており、青い線は10℃の位置、赤い線は13度の位置を示しています)。外気温0℃であっても、室温20℃の際に窓周りの表面温度は15℃を優に超えている事がこの解析から分かります。ドイツの最高スペックの窓(いわゆるパッシブハウス用窓)であれば、サッシ枠の表面温度は17~18℃といったところでしょうか。しかしあちらは冬の外気温がー10℃ですので、室内の輻射の状況としてはほとんど変わらない可能性が高いですね。地球環境のため、そして住まい手の住環境のために、良い窓を選択する決断をされた実務者の皆様は、どうぞその良い窓が最大効果を発揮できるよう、取り付け方も十分検討されることを強くお勧めいたします・・。

今回の物件でも基礎外断熱を採用していますが、立ち上がり部分には防蟻処理されたスタイロフォームを採用するだけでなく、板金による物理的なバリア(蟻返し)を被せて白蟻から構造躯体を守っています。また外壁は構造に極力国産材を使用し、高断熱ながら水蒸気の動きを止めない(気密シートを使用しない)断面構成とすることで、長期的に躯体の健全性が保てるように配慮しています。下のシミュレーションは基礎の断熱をペリメーターで止めた場合(右)と全面敷き込みにした場合(左)の床下と土中温度の違いを表しています。GLから7メートル下の土壌を年間平均気温の12度で固定して解析をしていますが、基礎の断熱が欠けていると室温20℃でひたすら地盤を温めている事が分かります。土壌の熱伝導率は2.1W/mKとやや不利側で見ていますが、冬の悪天候による土壌の含水率を考慮すれば、決して大げさな解析モデルでは無いでしょう。

この度見学会を取りまとめてくださった、パッシブハウス・ジャパン北陸支部の上野住建様、及び現場の工事を止めて見学会にご協力いただいたカネタ建設様にこの場を借りてお礼申し上げます。

 

なお本物件ですが、完成後はモデル住宅として公開される予定となっておりますが、施工現場の見学に関しては個別対応は難しい状況ですので、ご理解頂きますよう、お願い申し上げます。

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パッシブハウス・ジャパン
東北芸術工科大学