近江八幡 H邸 竣工いたしました。

キーアーキテクツで基本設計のお手伝いをさせて頂いた、近江八幡のH邸、無事に完成いたしました!玄関に入るとそこにはビルトインされたペレットストーブが・・。

実はこれ、鎌倉のキーアーキテクツとパッシブハウスジャパンの事務所の1Fに2年前に試験導入したイタリア製のペレットストーブの新型です。鎌倉では1Fのストーブで木質ペレットを燃焼させて、2Fの温水床暖房及び給湯回路のバックアップを行っています。今回このストーブを日本国内で初めて、一般のお施主さんの住宅に導入して頂きました。関西エリアでの温水暖房(密閉)回路の施工という事で、今回は東北からエキスパートの方に指導に来て頂き、太陽熱温水器や床下放熱器との接続のサポートをして頂きました。何よりも、実用としては日本初となる、この超エコ給湯&暖房システムに投資して下さったお施主さんの意識の高さと勇気、そして施工に取り組んでくださった夏見工務店の熱意に感謝です。

南から45度振れているという、パッシブデザインの難易度が高い敷地で、年間暖房負荷30kWh/m2を狙って断熱性能を逆算したり、開口部のデザインを行いました。積雪も多いこの地域では、車はやはり2台必須という事で、屋根付きのカーポートを設けました。今回設置されたペレットストーブにはウィークリータイマーが付いているため、例えば”月~金は17時に着火、21時に消火”といった制御が可能です。仕事を終えて家に入った時、綺麗な炎を見てホッとして欲しいな、という想いで、ストーブは玄関設置となりました。

カーポートの上はダイニングに続くウッドデッキ。こちらに真空管型太陽熱温水器(寺田鉄工所製)が設置されました。このパネルとセットになっている給湯タンクに、ペレットストーブからの温水回路を接続しました。夏に長期家を空けられる際、タンクのお湯が沸騰してしまうと水道水を少し無駄に消費してしまうので、覆いをかけられるよう、あえて屋根にパネルを設置しませんでした。これなら雪も簡単に落とせますね。更に冬場に集熱パネルの効率が落ちたとしても、ペレットストーブから送られる温水の熱ははまず最初に給湯タンクに放熱され、その戻り回路が1Fの床下放熱器に回るという仕組みになっているため、冬場に湯切れが起きることはまず無いでしょう。ここから先はある程度住まい手さんにチューニングを委ねていきたいと思いますが、無事にシステムが組み上がり、ひとまず安堵しております。

 もしも皆さんが、ノークレームでコスパが最大の住宅設備が欲しいなら、やはり大手メーカーの一般的なものから選ばざるを得ません。でもそうすると、再生可能エネルギーを最大効率で使う事は現状では難しく、ガスと電気の二択になってしまうし、電気に関しては電力会社を選ぶ事もままならなかったり。間接的に、原子力を容認してしまうかもしれません。私達を家づくりのパートナーとして選んでくれたお施主さんは、そもそも大手ハウスメーカーの家に満足せずに、より地球と家族に優しい家をフルオーダーで作ろうと決心してくださいました。その思想を尊重して、デザインや躯体性能だけでなく、住宅設備も私達は毎回フルオーダーで設計していきます。一生に一度の事ですので、是非皆さんも悩みぬいてください(笑)!

 

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コメント: 1
  • #1

    竹内昌義 (月曜日, 18 4月 2016 06:36)

    45度触れた土地に南の日射を最大限に取りに行く配置がいいですね。角のコーナーの処理もおもしろいと思いました。車庫の2階のデッキも気持ちよさそう。いろんなバランスに苦労の跡が見えます。プランも見たいです。

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パッシブハウス・ジャパン
東北芸術工科大学