生まれてはじめて鳥取にご縁が出来、一泊で出張して参りました。
スタバはないけど、スナバ(砂場)はある、という事で鳥取砂丘でパラグライダーをするという長年の憧れを達成出来るかと思いきや、砂丘を見ることすら叶わなかった弾丸出張でしたが(涙)、ここには世界を救う凄い最先端技術があることを、皆さんご存知でしたか?!
今回の訪問目的である鳥取の古民家再生プロジェクトの敷地が、偶然にも鳥取再資源化研究所の近くだったため、遂にリサイクル発泡ガラスの生まれ故郷を訪ねることが出来ました。
キーアーキテクツの設計では、基礎周りの断熱強化にリサイクル発泡ガラス砕石を使用する事があります。国内でこの技術を持っているのはこちらの写真に写っている鳥取再資源化研究所と沖縄の会社の2社だけだそうですが、鳥取では発泡の際の比重の調整が出来、用途に応じて水に沈む砕石を作ることができます。先日竣工の黒部のパッシブタウンのコミュニティセンターの屋上にも、断熱・遮熱効果と意匠の両者を兼ね備えた建材としてこの発泡ガラス砕石が敷き詰められており、先日の台風上陸でも砕石が飛んでいったり屋根の上で偏ったりという事がなく、非常に将来性が高いマテリアルであると感じました。熱伝導率は比重にもよりますが0.1W/mKあたり(グラスウールは0.038W/mK前後)ですが、土壌と比べればはるかに断熱性能が高く、白蟻が食い破れないので砕石状のものだけでなく、ボード状の製品の発売にも期待が集まっています。
原料は100%飲料用のガラス瓶。鳥取の中部エリアで回収されたガラス瓶はすべてここに集まり、砕石としてリサイクルされます。このガラスの発泡技術は元々ドイツで生まれ、圧縮強度の高いガラス砕石は建物の基礎下の断熱材として注目を集めています。発泡によって砕石内部には細かい気孔ができ、バクテリアが住み着いて水を浄化したり、アフリカの砂漠地帯で保水性を発揮し従来よりも少ない水の量で作物の収穫量をあげたりと、断熱分野以外にも救世主のような活躍ぶりです。ドイツには板状の発泡ガラス断熱材があり、基礎コンクリートを打つ際に型枠の中にセット出来るので、早く日本でも製品化して頂きたいですね。
上の写真がパッシブタウン・コミュニティセンターの屋上に敷き詰められたmade in 鳥取のリサイクル発泡ガラス砕石。屋上緑化よりも断熱性能が高く、軽量なのが魅力です。