中国弾丸出張

相変わらず、天安門広場にすら行けていない中国弾丸出張ですが(笑)、今回は北京から高速鉄道に乗りました。来るまでは3時間以上かかるような場所に、30分で着いてしまいましたし、車両もドイツのICEを思わせる洗練されたデザインで、とても快適です。ただ、問題は外国人利用者はチケット購入のハードルが非常に高い事です。パスポートの提示も必要で、現地の方にお願いしないとネット予約はほぼ不可能です。やっとの思いで手に入れたチケットにはパスポート番号や氏名も印字され、乗車時には飛行機の国外線か?と思うようなセキュリティチェックもあり、予定の列車に乗り込むまでが本当に大変でした・・。

中国では現在、省エネ化がものすごいスピードで進んでいます。風力発電の発電量は世界1位ですが、創エネだけでは無く、省エネの政策を政府が打ち出しており、パッシブハウスを建設すると床1平米当たり500元程の補助金が出るだけでなく、行政区によっては、通常よりも高い価格で住戸(マンションが主ですが)を販売する権利、竣工前に住戸を販売する権利も得るそうです。下記の写真はとある高層マンションをパッシブハウス化している最中です。流石に日本よりも冬の寒さは厳しいですが、トリプルサッシを採用すれば、外壁の外断熱厚みが200mm程でパッシブハウス仕様になります。

ただ、建物の気密化に伴い、従来型の住宅設備の見直しも必要で、例えばキッチンに設置されたガス瞬間湯沸かし器のような機器はFF式に変更したり、各住戸のレンジフードからの排気を繋ぐ中央排気塔(これは中国特有の考えに基づきます)からの逆流等を防ぐため、ダンパーを設けたり、住戸内を正圧にする工夫をしなければなりません。これから中国でパッシブハウスを視野に入れた新しい住宅設備がどんどん開発されそうな予感がしていますし、私達もそのお手伝いをしています。そしてこのような動きが、最終的に腰の重い日本の大手メーカーを動かす原動力になれば良いと願っています。(森)

森みわ共著「あたらしい家づくりの教科書」

2016年9月1日発売

アマゾンで絶賛発売中!

東日本大震災を経て、省エネな暮らしの大切さに多くの方が気付かれました。2012年発売の「図解エコハウス」。これまで沢山のお施主さんがこの本を握りしめて設計相談に来られました。温熱を勉強したい実務者の方も是非!

パッシブハウス・ジャパン
東北芸術工科大学