Armin Guensterとの再会

先日カールスルーエの建築学生を20名ほど率いて、私のシュツットガルト時代の元上司である建築家のアーミン・ギュンスター(Armin Guenster)が来日しました。

アーミンが当時共同代表を務めていたStuttgartの建築設計事務所、Mahler Guenster Fuchs Architekten (MGF Architekten) は、東京ドイツ大使館の設計者で、私は2000年から彼らの元で学生アルバイトとして設計コンペの模型を作っていました。アクリルと木が彼らの模型の主な材料でしたので、良く粉塵マスクを付けて卓上鋸で材料の加工をしていました。大使館のコンペに勝った直後、私はアーミンからのミッションで東京に飛び、ドイツ語の出来る現地パートナーを見極めるべく、岩村和夫さんや、彦根アンドレアさんの事務所を訪ねた事を覚えています。その後いろいろな方面からの政治的圧力もあり(笑)、実施設計を行う現地パートナーは日建設計に決まりました。大使館プロジェクトが本格始動すると、私はそのまま事務所に就職し、通訳者も兼ねながら、日建設計と、ドイツの外務省、国交省、ドイツ大使館、そして自分の所属する事務所の橋渡しをするべく、今思い返しても物凄く責任の重い仕事をさせて頂いていたのだなと思います。あの頃打合せで何度かお会いした日建設計の亀井室長は、現在社長になられました。

 

その後、MGF Architektenでも世代交代があり、現在のアーミンは大学での仕事の方がウェイトが高いようでしたが、相変わらずの熱意で最近のプロジェクトの話をしてくれました。実はパッシブハウスが大嫌いなアーミン(笑)、この間も竣工した建物のファサードのヒートブリッジが指摘されて訴訟問題になったそう!そんなこと、この日本じゃ絶対に起きないだろうな、こん畜生!と背後にあったガラス・ファサードを指さして笑いました。

 

彼らは今でも、設計コンペで勝ち取った仕事しか手掛けません。かなり強気な意匠設計者なので、訴訟はある意味慣れっこの様ですが、今思い返しても、彼らのディテールに対するこだわりは尋常ではありませんでした。十何年ぶりの再会でしたが、何となくお互い変わっているところもあれば、全く変わっていないところもあって、それは私にとって大変うれし懐かしの時間でした。(森)

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パッシブハウス・ジャパン
東北芸術工科大学