相当トリ(鶏)つかれてますね、って先日とある方に言われました(笑)。ええ、最近はキーボードで”しりょう”って打ち込むと”飼料”って変換されますから(爆)。ってな訳でこれまで何十年もスーパーで破格な卵を横目に平買い卵を飼って良しとするルーチンは終わり、先月末から自家製卵ライフを楽しみ始めました。世界一ずぼらな養鶏家と自負出来る位、ほったらかし飼育に拘って5か月。極寒の軽井沢でほぼ毎日卵を産んでくれていることに感謝の念しかありません。しかもやたらと固い殻につつまれた美味しい卵を。軽井沢に家を建てて何が一番やりたかったかというと、庭先で鶏を飼いたかったと断言できる位、都会でもなく、ド田舎でもない場所で、ずぼらな私でも養鶏家になれたら、同じようなことを考えている皆さんの参考になるんじゃないかなって。
生後半年のつくねちゃん達(3羽共みな同じ名前!)は岡崎おうはんという品種で、卵肉兼用の種になります。卵も良く産んでくれて、お肉もおいしいという意味です。え、食べるの?ってよく聞かれますが、はい、その予定です。だってベジタリアンにまだなれていないので。スーパーで買ったブロイラーチキンを食べながら、卵を産まなくなったつくねちゃん達をペットとして飼っていては、密な環境で急成長させられるブロイラーチキン達の環境は改善されません。そして、卵用の鶏と肉用の鶏が分かれていると、沢山の命が無駄に生まれ、無駄に処分されてしまうので、もしベジタリアンになることを選択しないのなら、卵肉兼用への移行をみんなで応援するべきだと私は思うのですね。でも卵を産んで2歳頃になった親鳥は、皆さんが普段食べている若鳥(生後3か月前後)よりもお肉が固いというか、噛み応えがあるそうです。なのでつくねが良いんじゃないかなと・・。家畜以上、ペット未満のどこかに、持続可能な肉食の落としどころがあるのかを探る壮大な旅が始まった訳です。
こちらは先日突如産まれた二黄卵。排卵ペースが安定するまでの間に時々産まれちゃう奴です。勿論味も栄養価も変わりません。一応ここで卵に関する豆知識をまとめておきましょう。
■ 卵のサイズは、鶏の月齢で決まります。最初は小さめ、ちょっとずつ大きくなってLサイズになります。でも黄身の大きさはほぼ変わらず、白身が増えます。
■ 卵の殻の色は鳥の品種で決まります。白い卵は卵用の鶏。痩せているのでお肉に向かないそうです。茶色い卵は卵肉兼用種が多く、肉付きが良い分餌も少し多めに必要ですが、温厚な性格の品種で平買いにも向いているそう。
■ 卵の黄身の色は2週間前に食べた餌の成分で決まります。TKG用にオレンジ色の黄身を珍重するあなたは、トウモロコシとパプリカ、マリーゴールドならまだマシですが、着色料食べてる鶏の卵、選んでるかもですよ?!うちの卵は黄色とオレンジの中間くらい。お米だけ食べてる鶏の卵はレモン色です。そして栄養価はぜーんぶ一緒。烏骨鶏の卵の栄養価は若干高いと言われているけど10%も高くないです。では烏骨鶏の卵は何故高級なのか?それはおそらく産む量が一般的な鶏の1/3だから(笑)。
■ 卵の鮮度は、白身の盛り上がりに差が出ます。
最後に、コケコッコーって鳴くんじゃないの?って聞く人多すぎます。
それは雄鶏だろー!って私がすかさず突っ込むと、え、雌鶏だけでどうして卵産むの?
ってまた次の質問。学校で習わなかったのかしら!?
どうしても有精卵を自家製で食べたい人は雄鶏も飼ってください。
少しでも自然な飼育環境で鶏が育って欲しいと願う人は、「平買い」ではなく、「放し飼い」の卵を求めてください。屋内のコンクリート床で1㎡あたり11羽まで飼っても平買いと言えちゃいます。まったく、都内の満員電車じゃあるまいし。
下の写真は生後1日目のつくねちゃん。
次に雌鶏の話。生後5か月から3歳くらいまで卵を産んでくれますが、ピークは1年目なので、養鶏所ではそのあたり(1.5歳)で次の世代に入れ替え、引退組は処分させられてしまいます。品種改良の結果、産卵率がピークの時には1羽が1日1個、卵を産みますが、それ以上は絶対に産めない。ということはですよ、もしあなたが1日に1個、卵を食べているとすると、日本のどこかにあなた専属の雌鶏が生きていて、毎日あなたのために卵を産んでいるのです。しかも平飼いで無かったらずっと人工照明の室内でケージに閉じ込められたまま。でも産み始めてから1年で入れ替わるので、生まれて初めて日の光を浴びるのはその鶏の命が尽きる日だったりします。そして有精卵を孵化させる時、オスとメスの比率は1:1なので、メスの雛が1羽必要とされていたら、オスの雛1羽が生まれたその日に処分されているのです。日本の場合は生きたままミンチになるか、コンテナに放り込まれて圧死するか。実際に日本では毎年1億羽のメスの雛が出荷されているので、1億2千万人に対してほぼ1対1ですね。で、毎年1億羽のオスの雛が瞬殺または圧死です。昔お祭りの屋台で売っていたヒヨコは全部、この捨てられる運命にあったオスだったんですよ。カラースプレーでピンクとかブルーになってたやつも。だから子供たちに育ててもらって運よく生き残った子は大抵コケコッコーって鳴いた訳です。その一方でお肉になるブロイラー達はムチムチと太らされて2か月程度でピヨピヨと鳴きながら出荷されるのですが、出荷の際にはもう自分の体重を支えることが出来なくなっていて、床にへたり込んでいる。そしてものすごい密度で飼育されてますから、病気にならないように薬とか餌に一杯入れるでしょう。Youtubeで検索したらいろいろ出てきますけど、ケンタッキーフライドチキンがジューシーで旨い!とか言ってる私達にも責任はあるのです。
何が言いたいかというと、命を頂くにしても、その命に最後の日が来るまでは、もう少し動物らしく飼育してあげられないのかなと。そのために私たち消費者は何が出来るんだろうという問題提起です。私が岡崎おうはんのメス雛を3羽注文した時、3羽のオス雛の命が奪われたのだろうと。雌鶏に卵を産んで欲しいからと有精卵を孵化させる時、オスの雛も命を繋げてあげて地鶏として出荷できる可能性があるのは、卵肉兼用種なんだということに私はようやっと気が付きました。
下は郵便局の人が来て一瞬固まったつくねちゃん達がキングギドラになった瞬間(笑)。
どうせ殺して食べるなら残忍さは一緒だろう、という意見をお持ちの方もいます。その結果、ヨーロッパではなんと卵が孵化する前に性別を見極める技術も導入されているらしいです。しかも、卵を温め始めてから8日目にはヒナは痛覚を感じることが出来るらしく、その前に見極めてオスの雛になる卵を処分するそうなのです。なんかそれも凄い話ですね。出生前診断でオスが生まれてこないようにするとなると。でも人間で考えたら、望まれない赤ん坊を産んで生き埋めにしたら犯罪なので、人工中絶した方がまし、みたいな感覚でしょうか。でもですよ、私たちは事実として未だに鶏肉のたんぱく源に異存している。なのでオスの雛も産み育てて有難く美味しく頂くのが良い気がするのですが。正解はどこにあるのでしょうか・・・。