パッシブハウスとは、1991年にドイツのパッシブハウス研究所によって確立された省エネ住宅スタンダードです。
各国の法規によって定められた省エネスタンダードよりもはるかに上を行くこのシビアな省エネスタンダードは、ドイツ、オーストリアで大きく普及し、2011年までにはEUの新築住宅のスタンダードになるとされています。
近年ではEUとは気候の異なるアメリカや韓国でもパッシブハウスの建設が試みられており、近い将来に世界スタンダードになると言われている程です。
パッシブハウスを名乗ることができるのは、床平米当たりの一次エネルギー消費量および冷暖房負荷、そして気密性能の条件を満たした住宅のみです。
“パッシブ”という言葉は、太陽エネルギーをパッシブに利用する手法として日本でも用いられてきましたが、それは英訳するとPassive Use of the Solar Energy(太陽エネルギーのパッシブ・ユース)と呼ばれ、ドイツ発祥のPassive Houseとは異なる定義です。
上記の条件を満たすように、国際的に用いられているPHPPソフト(Passive House Planning Package)を用いて建物の熱損失計算を行います。
PHPPは住宅のみならず、学校建築、商業建築、そして医療施設等にも適応することのできるソフトです。KEY ARCHITECTSでは全ての設計に対して熱損失計算を行い、建物の使用中の年間一次エネルギー消費量、冷暖房負荷を提示いたします。
パッシブハウスの性能を満たす設計をご希望の場合は、ドイツ・パッシブハウス研究所からの認定状が発行されます。
2008年1月4日から実施されている、欧州の住宅エネルギーパフォーマンス表示制度は、
冷暖房、給湯および換気(国によっては照明)に用いられるエネルギー量を、年間の一次エネルギー消費量として算出します。
エネルギーパスの目的は、純粋にCO2削減の推進である一方、パッシブハウスは省エネ性、居住性、経済性を3つの柱としてアフォーダブルな省エネ住宅を普及させることを目的としています。
2009年4月から導入されたトップランナー方式の省エネ住宅ラベリング制度では、EUと同様に冷暖房、除湿、給湯、換気および照明に用いられるエネルギー量を、年間一次エネルギーとして算出します。
算出に用いられる単位は、MJ(メガジュール)となり、1kWh=0.0036MJを用いて、EUの省エネ表示やパッシブハウスの性能と比較することが可能です。
ただしこの新制度は、年間150棟以上の施工を手がける大手工務店のみに義務付けられ、法規として新築および不動産取引が行われる中古物件の全てに義務付けを行うEUの制度とは異なります。